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2022/09/17

【冥王星】山羊座27度のサビアンシンボルから時代のテーマを読む

第三の眼・代々木&オンラインのサビアン占星術研究家 すずきふみよし です。

冥王星が位置するサビアンシンボルが示唆する時代のテーマ

2022年9月16日現在から12月9日までの期間は冥王星が山羊座27度にあります

冥王星は天文学的には準惑星となりましたが,占星術においては変わらず最重要天体であり続け,時代の根底的なテーマを表しています。冥王星の公転周期は長いため同じ度数に長く滞在し,その度数のテーマを深く私たちに提示しています。つまり冥王星が位置するサビアンシンボルを知ることは,時代のテーマを深く理解することにつながるのです。

冥王星の位置するサビアンシンボルの象意を理解することにより,この混迷の時代を読み解き,よりよく生きるヒントにしていただければ幸いです。

なお,サビアンシンボルはルディアにならい,以下の2つの側面から解釈しています。
実存的:サビアンシンボルの詩文を字面どおりに読んで解釈してよい部分
元型的:360度の全体構造から
字面以外の意味を抽出しないといけない部分

山羊座27度のサビアンシンボル解説

ルディアおよびジョーンズのテキストから読む

占星術家マーク・エドモンド・ジョーンズは透視能力者エルシー・ウィーラーとのコラボレーションによりサビアンシンボルの体系をつくり上げたオリジネーターです。ジョーンズの勉強会に参加していたデイン・ルディアは独自解釈を加え,サビアンシンボルをさらに進化させた中興の祖と言えます。すずきふみよしは両者のテキストを併せ読むことでサビアンシンボルのコアに迫ろうとしています。

山羊座27度のサビアンシンボル(ルディア版,以下同)
山の神殿に続く急な階段を上る巡礼者たち
Pilgrims climbing the steep steps leading to a mountain shrine.
キーノート:その文化のスピリチュアルな指導者たちによって到達された最高の実現への個人化された意識の上昇

山羊座27度の実存的な意味

このサビアンシンボルの詩文から容易に連想されるのは,モーセが天啓を得て十戒を授かったとされる聖地・シナイ山です。サビアンシンボルのなかには魚座22度「新しい法の銘板を携えた預言者がシナイ山の坂を歩いて下りている」というそのものズバリのものもありますが,随所で繰り返し似たようなモチーフがしばしば反復されるのも特徴です。

このサビアンシンボルが扱っているものはいわゆる至高体験です。自己実現のその先,超越がテーマとなっています。いささか陳腐化している感もあるこの至高体験についてルディアは「それはかつて多くの人たちがわれわれの人種の偉大なる師と賢人たちのインスピレーションのもとで踏み固めてきた道につながる非常に大きな広がりに依存しているのだということをこのシンボルは教えてくれる」と述べています。志あって山の神殿をめざし,そこで自分にとっては独特に感じられる天啓を得たようにおもえても,その道はすでに多くの先人たちが通ってきたものです。個人にとって特別な体験であっても,その先があることを知る——これがまさに超越なのです。

そしてそこには指導者の存在が暗示されています。サビアンシンボルの詩文自体には描かれていないものの,巡礼者たちは,直接的であれ間接的であれ,指導者の教えに即して高みをめざしているのです。このサビアンシンボルの実存的な意味としては学ぶことや教えることへの親和性があります。

山羊座27度の元型的な意味

ゾディアック360度を5度ずつのまとまり(シーケンス)に区切っていくと,この山羊座27度は「宇宙のエネルギーの集団的熟達へとつながる(ルディア)」60番目のシーケンスの第2ステージとなります。先行の山羊座26度「虹色に輝く滝の霧のなかで踊る自然の精霊」では自然現象のなかに創造的なスピリットを知覚し,いわばオカルト的なエネルギーが“降りてくる”のを感じました。この山羊座27度ではその下降を上昇へと反転させることがテーマとなっています。高みをめざすエネルギーの源泉は自然から“降りてきた”ものだということです。

ルディアはこれについて「水のように強度が低いレベルのほうに向かって流れ落ちるものの上昇を目撃することになる」「これは,火のように上昇しなければならないという人間の至上の任務であり,それは人間が自分の仲間と共有するビジョンによってそうしなければならないと駆り立てられる」と説明しています。水が流れるように下降してきたものを受けとり,火が燃え上がるように上昇させる——これがこのサビアンシンボルの元型的な意味です。そしてそこには仲間とのビジョンの共有が介在しています。指導者や先人たちの存在も伺える一方で,横のつながりも強く感じられるのがこのサビアンシンボルの特徴です。

山羊座27度のキーワードと現れ方

キーワードとして“PERSEVERANCE(忍耐力,粘り強さ,根気,不屈)”が与えられています。高い山を踏破し頂にある神殿をめざすには当然のように粘り強さが求められます。火のように上昇することに使命感を帯びていますが,そこには不屈の精神があります。ジョーンズは「個人は自分のために選択した究極の進路を逸れることなく守り続けるよう奨励される」と述べています。

ポジティブな発現は「手近のやりがいある仕事への疑いなき献身における精神と心との全体的調停」です。粘り強く不屈の精神をもって自分の仕事に献身的に取り組む様子が,そしてそこにおいて精神 mind と心 heart が折り合いをつけているさまが示されています。使命感を帯びて成し遂げられたその仕事は非常に気高いものとして残り,そしてその価値は時代を重ねるごとに階段を上るように高まっていくことでしょう。

ネガティブな発現は「皮相的な忠誠における満足および偽りの美徳のパレード」です。なんとも刺激的なフレーズですが,使命感を抱くにしてもその動機が不純で浅薄なものであってはいけません。また「みんなこうやってきたんだから」と安易なルーティーンに堕していくおそれもあります。なんとなくやった気でいても残ったものを振り返れば上っ面の虚飾だらけだったということのないように注意したいものです。

山羊座27度に太陽をもつ有名人

山口百恵    Momoe Yamaguchi

出生図の太陽のサビアンシンボルがこれである有名人としてとりあげたいのは,元歌手・俳優の山口百恵さんです。出生図を出して見てみましょう。1959年1月17日東京都(渋谷区)生まれ。出生時刻は「出生時間の分かる有名人まとめWiki from2ch」を参考にし午前8時としました。ただし午前8時である根拠,ソースは確認できていません。後述しますが,芸能界で華々しい成功を収めたのちにすっぱりと引退して家庭に入り,表舞台から姿を消している様子は12室の太陽を感じさせ,納得できるものです。なおこの日は午前6時より早い生まれでなければ太陽の位置は山羊27度になります。

山口百恵の出生図ホロスコープ Momoe Yamaguchi, natal chart

若い方には馴染みが薄いかも知れませんが,1966年生まれの筆者にとっては子どもの頃にリアルタイムで熱狂した昭和を代表するアイドルであり国民的大スターでした。清純派のビジュアルにどこか翳のある雰囲気と憂いを帯びた歌声,確かな歌唱力と挑発的な歌詞で一世を風靡し,のちのアイドルの1つの雛型となりました。彼女の写真を数多く撮影した篠山紀信は「時代と寝た女」と評し,評論家の平岡正明は彼女を題材に『山口百恵は菩薩である』という著作を発表しました。昭和40~50年代という時代を象徴するスターです。

テレビのオーディション番組「スター誕生!」への出演をきっかけにデビュー。歌手や俳優といった仕事のみならず,アイドルやスターという時代が要求するアイコンの役割にも真摯に向き合いました。そのさまはまさしく粘り強い献身であり気高いものであったと言えるでしょう。高度で豊かな表現力はまさに火が燃え上がるようなエネルギーの上昇を感じさせます。

人気絶頂の1979年に,テレビドラマや映画で数多く共演を果たした俳優の三浦友和氏との交際を発表。翌1980年のファイナルコンサートを歌い上げ芸能界を引退し結婚しました。その後は一切芸能活動をしておらずメディアへの露出もほとんどないという去り際の潔さが,さらに伝説度を高めています。引退してなお階段を上っていくかのようです。

引退後は芸能界と距離を置き,ごくまれに家族関係を報じるマスコミによって写真が掲載される程度ですので,百恵さんの近況は定かではありません。今年2022年3月21日に長男である三浦祐太朗氏の第一子誕生がニュースとなり,百恵さんに初孫ができたと話題になりました。プログレス冥王星がネイタル海王星に載っている下地の上にトランジットの月が載り,さらにトランジットの金星と火星がネイタルの金星(およびアセンダント)に載るというタイミングです。百恵さんにとっては人生の終盤の大きな節目を迎えることとなり,加えて初孫という大きな宝物を得られたときであったと言えるでしょう。

みずから積極的に情報発信をしていく立場ではすでになくなっている百恵さんですが,トランジット冥王星がネイタル太陽の前後を動いている昨今,なんらかの動きを見せる可能性はあるでしょう。初孫の誕生を経てなにかしら心理的な変化も当然あるかとおもいます。表立って見えることは少ないでしょうが想像に難くありません。

山羊座27度にある冥王星が示唆する時代のテーマ

冥王星が扱うものは死と再生や極限およびその突破などとされます。したがって冥王星がこの度数に来ているということから導かれるのは,先人を意識し仲間と手を携え自分を高めることで限界を突破することと言うことができます。自分がいま悩んでいること,直面している問題は,いわば人類みな誰しもが古来よりぶち当たってきたことです。それと同時に,未来の人類もまず間違いなく直面していくであろうことでもあります。両方の視点をもつことが必要です。

そして,だからこそ,人と手をつなぐことが大事です。志を同じくするものどうし手をとりあって,自分を,お互いを高めていきましょう。それがブレイクスルーの鍵となります。逆行の重々しさもありますが(冥王星は8月4日~12月9日まで山羊座27度です)それゆえに長期戦略として腰を据えて取り組むことが求められます。人と連携して自分を鍛え高めていきましょう。

山羊座のこのあたりの度数(前後2度ほど)に天体が,とくに太陽や月がある人にとっては,心理的な変化や刷新が圧となって押し寄せているかも知れません。同時に,牡羊座・蟹座・天秤座の同じあたりの度数に天体(太陽・月)がある人にも影響があるでしょう。

  • 牡羊座:自分を憐れみ現実から撤退して引き籠もりがちです。これを機に自分を再定義しましょう。
  • 蟹座:旧態依然としたものの抜本的な見直し傾向が強まります。不要に感じたら容赦なく断捨離を。
  • 天秤座:理想が高すぎる,視点がぶっ飛びすぎているなど現実に即していません。限りあるリソースから最適解を。

混迷の時代をどう読み,つくっていくか

現在,木星以遠の天体がすべて逆行中です。木星以遠の天体は時代の変化をつくるとされていますが,それらがすべて逆行とはまさにこの混迷する時代の停滞状態をくっきりと表していると解釈することが可能でしょう。

個人の出生図における逆行は,その天体のもつ象意の発現がいくらか控えめに,よく言えば慎重な現れ方をすると解釈されます。また見方を変えると,順行―逆行―順行の流れは前進後退しながら同じ度数を2~3回通過することになり,すでに経験したテーマをもう一度見直し掘り下げていくプロセスであると捉えることができます。私の本業である出版の仕事にたとえれば“校正”のようなものです。

混迷の時代にあって逆行する木星以遠の天体——これらのサビアンシンボルを読み解くことによって,時代はどう変化していくのか,そこに私たちはどう対応していけばよいのかのヒントが得られることでしょう。じっくりと時間をかけて校正・推敲することで人生は美しく仕上がります。そして変化は,控えめながらも着実に,行きつ戻りつしながらも間違いなく先へと進行しています。

こうしたコンセプトのもと,木星以遠(とりわけトランスサタニアン)の天体が現在位置しているゾディアックの度数について,サビアンシンボルの解説の集中連載を行うことにしました。時代を読み,そしてつくっていく手がかりとしていただければ幸いです。

★参考:しばらくの冥王星の運行

  • 2022年8月4日~10月8日 山羊座27度(逆行)
  • 10月9日~12月9日 山羊座27度(留~順行)
  • 12月10日~2023年1月11日 山羊座28度(順行)
  • 1月12日~2月11日 山羊座29度(順行)
  • 2月12日~3月23日 山羊座30度(順行)

◉参考文献

Dane Rudhyar, “An Astrological Mandala — The Cycle of Transformations and Its 360 Symbolic Phases,” Random House, Inc., 1973.(デイン・ルディア『アストロロジカル・マンダラ——変化のサイクルとその360のシンボルのフェイズ』ランダムハウス,1973年)

Marc Edmund Jones, “The Sabian Symbols in Astrology — A Symbol Explained for Each Degree of the Zodiac,” Aurora Press, 1953.(マーク・エドモンド・ジョーンズ『占星術におけるサビアンシンボル——黄道十二宮における各度数のサビアンシンボル解説』オーロラ・プレス,1953年)

Dane Rudhyar, “The Astrology of Personality — A Reformulation of Astrological Concepts and Ideals, in Terms of Contemporary Psychology and Philosophy,” Lucis Publishing, 1936.(デイン・ルディア『パーソナリティの占星術——占星術の概念および理想を現代の心理学と哲学の観点から再定義する』ルーシス・パブリッシング,1936年)

※邦題は理解を容易にするため便宜上筆者がつけたものであり,いずれも日本語の翻訳は出版されていません。

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