BLOG 占星家・タロティストのブログ BLOG 占星家・タロティストのブログ

2022/09/29

【天王星】牡牛座19度のサビアンシンボルから時代のテーマを読む

第三の眼・代々木&オンラインのサビアン占星術研究家 すずきふみよし です。

天王星が位置するサビアンシンボルが示唆する時代のテーマ

2022年9月29日現在から10月12日までの期間は天王星が牡牛座19度にあります

天王星は太陽系の第7惑星です。冥王星が天文学的に準惑星の扱いとなったため,天王星は海王星に次いで現在太陽系の惑星で2番目に外側を公転している惑星です。公転周期は約84.3年と海王星(約164.8年)の半分ですが1つ内側の土星(約29.5年)の倍以上長く,やはり海王星や冥王星同様に長時間をかけて運行するために,占星術においては時代の根底的なテーマを表す天体の1つとされています。ゾディアックにおいては約7年で1つのサイン(星座)を通過します。

天王星の天文学的特徴として自転軸の極端な傾きがあります。赤道傾斜角が約98度,すなわち黄道面に対してほとんど真横に倒れた状態で公転しています。この独特の傾きのためなのかどうか定かではありませんが,占星術においては独創性や奇抜さを表すとされる天体です。太陽系の傾奇者(かぶきもの)と呼んでもよいかも知れません。

同じ度数に長く滞在し,その度数のテーマを深く私たちに提示しているがゆえ,天王星が位置するサビアンシンボルを知ることは時代のテーマを深く理解することにつながります。天王星の位置するサビアンシンボルの象意を理解することにより,この混迷の時代を読み解き,よりよく生きるヒントにしていただければ幸いです。

なお,サビアンシンボルはルディアにならい,以下の2つの側面から解釈しています。
実存的:サビアンシンボルの詩文を字面どおりに読んで解釈してよい部分
元型的:360度の全体構造から
字面以外の意味を抽出しないといけない部分

牡牛座19度のサビアンシンボル解説

ルディアおよびジョーンズのテキストから読む

占星術家マーク・エドモンド・ジョーンズは透視能力者エルシー・ウィーラーとのコラボレーションによりサビアンシンボルの体系をつくり上げたオリジネーターです。ジョーンズの勉強会に参加していたデイン・ルディアは独自解釈を加え,サビアンシンボルをさらに進化させた中興の祖と言えます。すずきふみよしは両者のテキストを併せ読むことでサビアンシンボルのコアに迫ろうとしています。

牡牛座19度のサビアンシンボル(ルディア版,以下同)
洋上に隆起する新大陸
A new continent rising out of the ocean.
キーノート:危機のあとに怒濤のように押し寄せる新たな潜在的可能性

牡牛座19度の実存的な意味

このサビアンシンボルの詩文から直接的には地球の力強いエネルギーが読みとれることでしょう。ジョーンズは「存在の未加工の実体のシンボル」「経験はその欲求に完全に一致して自分自身の土台を形成するかも知れないということを示唆している」と述べています。隆起した新大陸は自分自身の新たな基礎となり得る可能性が暗示されています。

ルディアは「このシンボルについて語るべきことはほとんどない」とまで言い切っており,実存的な意味としてはほとんど字面どおりそのままと解釈してよいようです。ただ「生命の新たなる解放が潜在力の無限の海原,処女の場所から出現し得る。それをなにに使うのか? 」とも述べており,後述しますがエネルギーの使用法が問われることになります。

牡牛座19度の元型的な意味

ゾディアック360度を5度ずつのまとまり(シーケンス)に区切っていくと,この牡牛座19度は10番目のシーケンスの第4ステージとなります。海王星魚座24度の記事でも述べたとおり,第4ステージは通常,なんらかのテクニックを示す度数です。第1ステージおよび第2ステージが第3ステージにおいて統合され(ヘーゲルやマルクスに連なる伝統的な意味合いでの弁証法的プロセス),そして第4ステージでは個人化された意識の発達にとって必要とされる新たなテクニックが提示されます。第5ステージでは意識の新次元が発見され,体験および精神の発達のより高次の可能性が示されることになります。ルディアはこれを「5拍子の弁証法的シーケンス」と呼んでいます。

先行の3度分を整理していきましょう。牡牛座16度「老教師が生徒に伝統的な知識に興味を抱かせようとして失敗する」では危機の際に過去の知識がまったく役に立たないことを思い知らされました。それを受けて牡牛座17度「“剣”と“松明”との象徴的な闘い」では過去への依存に拒絶を示し探求のために闘いの道を選びました。牡牛座18度「開いた部屋の窓越しに古い鞄を虫干ししている女性」では真の敵は心の内にあるということを悟り自我意識を洗い清めるに至りました。

こうしたプロセスを経ての第4ステージ,牡牛座19度ということになります。キーノートにある「危機のあとに怒濤のように押し寄せる新たな潜在的可能性」とはこのような流れを受けて「心が空っぽにされ,その執着と汚濁とから自由になった意識を浄化するために光が求められたとき(ルディア)」の潜在的可能性の発露ということです。したがってこの第4ステージ牡牛座19度で示されるテクニックとは端的に言うと“無為自然”です。牡牛座16度では魂は「あれでもない」「これでもない」の自問自答を繰り返していましたが,3度分のプロセスを経て無策の策,テクニックを使わないというテクニックに至るのです。

ルディアはこのテクニックについて「無限の潜在力を,制約されていない〈自発性〉のなかで働くよう〈許す〉こと」と説明しています。それゆえにこれはけっして怠惰な後退などではありません。くまのプーさんの言葉を借りて言えば「なにもしないことがしばしば最善のなにかにつながる “Doing nothing often leads to the very best of something” 」のです。これがこのサビアンシンボルの元型的な意味です。ルディアは「意識的で合理的な自我がもはや制御要因ではない状態に達したことを意味する」とも述べており,このステージにおいては自我に囚われることこそが後退なのです。

牡牛座19度のキーワードと現れ方

キーワードとして“ORIGINALITY(独創性,本物であること,新奇性,奇抜さ)”が与えられています。自我に制御されることなく自発性のなかで潜在力を発揮させることはまさに独創性を生み出す営みになるでしょう。ただそれは単に野放図で奇をてらったものというわけではありません。ジョーンズは「シンボリズムの本来の意味は,連続する全体的なサイクルの経過を通じてすべてのリアリティが絶え間なくつくり直されているという気づき」であり「またそれは人が自分の力と自分の世界の機会とのそれぞれの新しい認識の構造のなかで継続的に自分自身を再確立するという事実を劇化している」と述べています。まさに無策の策とはつねに絶え間なく策がつくり直されているのであり,それを行使する都度自分が再確立されているのです。

ポジティブな発現は「個々人が宇宙の全体像を再構築することを可能にする革命的な潜在力」です。独創性に満ち溢れたアクションは他の人々にとって自分自身の宇宙の捉え方さえ見直すことになるような影響を及ぼします。革命が伝播するのです。

ネガティブな発現は「無益な騒動や執拗な動揺の天才」です。せっかくの独創性もこうなってくると騒ぎを起こし社会にゆらぎを与えることが合目的的になりかねません。

牡牛座19度に太陽をもつ有名人

ビリー・ジョエル Billy Joel

出生図の太陽のサビアンシンボルがこれである有名人としてとりあげたいのはシンガー・ソングライターのビリー・ジョエルです。出生図を出して見てみましょう。1949年5月9日米国ニューヨーク州ニューヨーク市(サウスブロンクス)生まれ。出生時刻はAstro Databankによれば午前9時半で,これは出生証明書や出生記録あり(Rodden Rating AA)という非常に信憑性の高いものです。

ビリー・ジョエルの出生図ホロスコープ Billy Joel, natal chart

ナチスの迫害を避けるべくドイツから米国に亡命したユダヤ人を両親にもちニューヨークで生まれました。1971年にプロデビュー後,1973年に「ピアノ・マン」がスマッシュヒット。以降「素顔のままで」「ストレンジャー」「オネスティ」などのスタイリッシュな作風で1970年代を代表するポップシンガーとなりました。ニューヨーク生まれ,それもロングアイランドという富裕層の多いエリアで育ったという環境が都会的なサウンドの背景にあるようです。洗練された独創的な個性は内外問わず多くのフォロワーを生み出しました。近年,日本の1980年代のいわゆるシティポップが世界的にブームとなっていますが,その源流となったミュージシャンの1人と言ってよいでしょう。

上記の代表曲「素顔のままで」の原題はJust the Way You Areです。直訳すれば「ありのままのあなたで」——まさに無為自然,プーさんです。素直で自然なエネルギーの発露が彼の美メロの源泉としてあります。それが独創的な個性としてじゅうぶんに発揮されており,このサビアンシンボルを非常によく体現している例として捉えることができるでしょう。

サビアンシンボルの発現に寄せた読解から離れて,別の視点から彼の出生図を読んでみましょう。太陽(11室牡牛座)とセレス(2室獅子座)のスクエアがあります。セレスは母性や養育的な態度を表し,太陽とのこのハードアスペクトが示すものは「家族の恩恵への自己犠牲,また愛する者との親密さや緊密さの否定」(ジョージ&ブロック)です。ハウスに鑑みても自己肯定感をもつことがつねに他者への犠牲になっている様子が伺えます。裕福な家庭に生まれ育ちながら,すでにデビュー前のアマチュア時代には鬱病を患っていたとされており,成功を収めたのちにも心の病をつねに抱えていたと言われていますが,出生図からも読み取ることができます。

月(4室天秤座8度「寂れた家で燃え盛る暖炉」),火星(11室牡牛座8度「雪で覆われていない土地にあるそり」),キロン(5室射手8度「大地の奥底に新しい元素が生じつつある」)の非常にタイトなヨドがあります。家庭環境の問題はここにも現れています。彼にとって創作とは自分を鼓舞し勇気づけ,まだ見ぬ未来へと準備のためのメッセージを送り,そして自己変容に至ることでみずからを癒やすプロセスなのだとかんがえられます。「ストレンジャー」のタイトルはカミュの『異邦人』からインスパイアされたものでしょうが,ビリー・ジョエルは自身の疎外感を歌詞の世界にうまく昇華しています。人間は誰しも仮面をつけて生きているものだが,恋愛という親密な関係においてさえそれを外さない(相手の)女性に違和感を示す,という内容ですが,このあたりにも上記のハードアスペクトが色濃く反映されていると読み取ることができます。

ポップシンガーとしてはすでにピークを過ぎてしまった彼であり,近年は目立った活動がないようです。1993年にアルバム「リヴァー・オヴ・ドリームス」を発表後スタジオ録音の新作はありませんがライブ活動は行っており,またポップスからクラシックへとジャンルを変更しての活動もありましたが,やはり鬱病やアルコール依存症で頓挫してしまいました。トランジットの天王星が彼のネイタルの太陽に載っている現在,これは愚直に読めば自己のリニューアルの機会であると言えますが,同時にまたネイタルのセレスを刺激することにもなり,彼としては非常に厳しい時期を過ごしているものと推察されます。病んでいることがデフォルト状態であるならばここでもう一皮剥ければ……と期待するのは酷でしょうか。

牡牛座19度にある天王星が示唆する時代のテーマ

天王星が扱うものは上述のとおり独創性や奇抜さ,そして変化,改革,刷新,斬新,奇矯,発明,革命,反社会性などです。よくもわるくも既存の常識的な価値観の枠からはみ出している——と言うよりはそもそもがあらかじめその枠の外にあるような概念や存在をあらわしています。したがって天王星がこの度数に来ているということから導かれるのは,自発性のなかに潜在力を解放し,無為自然というテクニックによって自己のリニューアルや社会の変革を促すこと,そしてそれが時代のテーマとしてトレンドとなっている現在があるということです。

木星以遠の天体,とりわけトランスサタニアン(土星より向こうの天体)に注目したこの集中連載も3回目となります。あらためて太陽系の天体と人間の意識の成長について整理しておきましょう。

  1. 太陽,月,水星,金星,火星——個人性を表す天体
  2. 木星,土星——社会性を表す天体
  3. 天王星,海王星,冥王星(トランスサタニアン)——普遍性を表す天体

1)は個人のパーソナリティ形成に比較的直接的に影響を与えます。2)は発達段階において保護/抑圧,援助/管理,拡大/規制,権利/責任(それぞれ木星/土星)など,相反する価値観あるいは対概念として個人に内面化され,社会性を涵養するものです。3)は社会や文化の価値観に依拠するものではないもっと普遍的な価値観,すなわち人類という種に固有の問題であったり集合的無意識にかかわるテーマ,より言うならば宇宙の・惑星の意識にリンクする問題を扱い,人間に対して“遠巻き”に影響を与えていくものです。

ちなみに私が実占において,あるいはブログにおいてしばしば言及し用いているセレスなどの小惑星は火星と木星の間にある小惑星帯(アステロイドベルト,メインベルト)に属するものですから,つまり1)と2)の間,個人性と社会性をつなぎ橋渡しをする存在であるということになります。具体的には教育や文化,親子問題,ジェンダー意識などに関わってくる天体です。このあたりについては別稿に譲ることにします。

天王星は3)のなかでも最も2)に近く,それゆえに比較的個人あるいは社会の意識に認識されやすいものです。あらかじめ常識の範疇の外にある価値観であるとしても海王星や冥王星が示すものよりは見えやすく捉えやすいと言えます。社会性の外に比較的近いところにいるマージナル(境界的)な存在——まさに傾奇者なのです。社会の周縁から存在をちらつかせインパクトを与える,それが天王星です。したがってこのトランジットの天王星が示す無為自然のテクニックは,比較的わかりやすいものとして認知を受けるでしょう。「その手があったか!」と,驚嘆と賞賛をもって受容されるものとおもわれます。この流れにうまく乗りひらめきを得てリニューアルできるか否かが人生の分かれ目になるかも知れません。

牡牛座のこのあたりの度数(前後2度ほど)に天体が,とくに太陽や月がある人にとっては,自分は変わらなければならないという強迫観念めいたプレッシャーがかかってくるおそれがあります。なんらかの閉塞感を抱えている人は現状打開のためには自分が変わらなければどうしようもないのだと自罰的な重圧に襲われる可能性があるでしょう。これもまた精神的な不調となって現れる可能性も否定できません。現状に満足している人でも漠たる変化の兆しに触れ,新しい流れが迫ってきていることを感じるかも知れません。同時に,獅子座・蠍座・水瓶座の同じあたりの度数に天体(太陽・月)がある人にも影響があるでしょう。

  • 獅子座:「リニューアル? なにそれおいしいの?」とばかりに享楽と耽溺の傾向が強まります。公共の福祉の軽視さえ伺えます。リラクセーションは大いに結構ですので,そのなかで共鳴できるものからインスピレーションを得てみてください。
  • 蠍座:無為自然よりはもっと自覚的に「変えてみせるぞ」と意識するほうがテクニックとして功を奏します。チャネリングのようになにかに同調してひらめきを下ろしてみてください。ただし物真似で終わらないように。
  • 水瓶座:大きなタスクをどうにか終えてやっとひと息,というところにリニューアルの圧が来ています。やれやれな感じが強いですが,ここはひとつ気乗りしなくても取り組んでみてください。むしろトラブルをおもしろがってしまう傾向も。

混迷の時代をどう読み,つくっていくか

現在,木星以遠の天体がすべて逆行中です。木星以遠の天体は時代の変化をつくるとされていますが,それらがすべて逆行とはまさにこの混迷する時代の停滞状態をくっきりと表していると解釈することが可能でしょう。

個人の出生図における逆行は,その天体のもつ象意の発現がいくらか控えめに,よく言えば慎重な現れ方をすると解釈されます。また見方を変えると,順行―逆行―順行の流れは前進後退しながら同じ度数を2~3回通過することになり,すでに経験したテーマをもう一度見直し掘り下げていくプロセスであると捉えることができます。私の本業である出版の仕事にたとえれば“校正”のようなものです。

混迷の時代にあって逆行する木星以遠の天体——これらのサビアンシンボルを読み解くことによって,時代はどう変化していくのか,そこに私たちはどう対応していけばよいのかのヒントが得られることでしょう。じっくりと時間をかけて校正・推敲することで人生は美しく仕上がります。そして変化は,控えめながらも着実に,行きつ戻りつしながらも間違いなく先へと進行しています。

こうしたコンセプトのもと,木星以遠(とりわけトランスサタニアン)の天体が現在位置しているゾディアックの度数について,サビアンシンボルの解説の集中連載を行っています。時代を読み,そしてつくっていく手がかりとしていただければ幸いです。

★参考:しばらくの天王星の運行

  • 2022年8月24日~10月12日 牡牛座19度(留~逆行)
  • 10月13日~11月7日 牡牛座18度(逆行)
  • 11月8日~12月2日 牡牛座17度(逆行)
  • 12月3日~2023年1月11日 牡牛座16度(逆行)
  • 1月12日~1月22日 牡牛座15度(逆行)
  • 1月23日~2月3日 牡牛座15度(留~順行)
  • 2月4日~3月14日 牡牛座16度(順行)

◉参考文献

Dane Rudhyar, “An Astrological Mandala — The Cycle of Transformations and Its 360 Symbolic Phases,” Random House, Inc., 1973.(デイン・ルディア『アストロロジカル・マンダラ——変化のサイクルとその360のシンボルのフェイズ』ランダムハウス,1973年)

Marc Edmund Jones, “The Sabian Symbols in Astrology — A Symbol Explained for Each Degree of the Zodiac,” Aurora Press, 1953.(マーク・エドモンド・ジョーンズ『占星術におけるサビアンシンボル——黄道十二宮における各度数のサビアンシンボル解説』オーロラ・プレス,1953年)

Demetra George and Douglas Bloch, “Asteroid Goddesses — The Mythology, Psychology, and Astrology of the Re-emerging Femmine,” Ibis Press, 1986.(デメトラ・ジョージ&ダグラス・ブロック『小惑星の女神たち——再出現する女性性の神話学,心理学,および占星術』アイビス・プレス,1986年)

※邦題は理解を容易にするため便宜上筆者がつけたものであり,いずれも日本語の翻訳は出版されていません。

カテゴリ一覧

アーカイブ