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2026/10/31

ロイス・ロデンとデイブ・ロエル ──水星・金星の逆行期の発見と回想

ロイス・ロデンとデイブ・ロエル ──水星・金星の逆行期の発見と回想

「The Mercury Method of Chart Comparison / Lois M. Rodden」

おそらく多くの占星術ファンやプロ、セミプロの方々はそうだと思いますが、私の本棚にも結構な数のアストロロジー関連の本があります。そんな中で水星と金星のW逆行の少し前から、妙に背表紙が気になる、いわゆる「呼んでいる」本がありました。

その本は、いまや世界中の占星術師がお世話になっているAstro-Databank の基礎を築き、後に占星術界最高の栄誉であるレグルス賞を2度受賞することになるロイス・M・ロデンの「The Mercury Method of Chart Comparison(1973 AFA Publishing)」です。

タイトルの「水星によるチャート比較法」のとおり、相手を理解することを通してシナストリー(相性)を分析していくという内容で、彼女が出生データの収集と検証、データベース化に本腰を入れる前に書かれたものですが、相性を月や金星の「情」ではなく「理解」や「コミュニケーション」、「知」を通して見ていくというところがとても新鮮でした。

ただ当時の占星術本によくあることですが、クックブック形式で書かれた本なので1ページ目から通読する気になれなくて、入手した後に部分的に拾い読みをしただけだったんですね。そこで、「なんだかやたらと目に入ってくるし、この時期に人との絆や愛情を水星で読み解く本って、すごくタイムリーではあるよね」「たしか相性にパラレル導入してて面白かったからそこを読み直そう」と本棚から引っ張り出したのですが・・・

いや、もう最初の数ページで「へっ?」となってしまいました。

「人間は占星術的諸要素と個人的背景の複合体である」

まずしょっぱながこれです。

「チャートを読むときには、まずその人自身を見ることだ。 その人の年齢や性別、育った環境や人生経験はどうか。教育程度、経済状況、感情面の成熟度はどうか。現在どのような関心を持ち、その関係性に何を求めているのか。また、その関係に対してどのような準備ができているのか。 過去の経験や理解によって、その人がどの程度成長してきたかを考慮しなさい。」

「 占星術的には困難な配置を持っていたとしても、その障害を乗り越える過程で前向きな態度を身につけている場合がある。 一方で、火星のアスペクトが二つしかない人であっても、心理的に暴力性の傾向を抱えており、そのポテンシャルがチャートにも表れていることがある。」

ロデン・レイティングを作った「”あの”ロデン」、占星術世界における「データと検証」の象徴のような人物が、1973年、まだ心理占星術という言葉すら十分に浸透していない時代にこんなことを書いていたんです。

後に膨大な出生データを検証し続ける「ロデン・レーティングの鬼」が、最初期の著作で「人間は占星術的要因と個人的背景の複合体である」なんて言っている。「ホロスコープだけじゃわからないよ」と言ってる。ロデン・レイティングのバリバリ数字とファクト重視の人が、それも半世紀以上前に。・・・ぐぬぅぅ。

それにこれ、翻って考えると、「単純にホロスコープの意味を羅列するだけでは個人を占うことはできない」ということでもあるんですね。年齢や人生経験、置かれている状況や成熟度によって、同じ天体の配置でも表れ方は大きく変わる。天体の使いこなし方や習熟度だって皆まちまちなのですから。

ロデンが繰り返し強調しているのは、そのホロスコープに書き込まれた象徴だけを見て結論を出すまえに「その人自身を見なさい」ということ。対面鑑定を行う占星術師として、すごく大切なことを改めて教えられた気がします。メール鑑定やAI占いが一般的になった現代だからこそ、この一文はむしろ重みを増しているようにも感じたのでした。

先達たちの献身の上で私たちは星を読んでいる

ぐっと来たポイントはもう一つあって、それはこれ。

惑星やアスペクトを読むことができる人なら誰でも、この技法を使うことができる。 二枚の出生図を正確に作成できる熟練占星術師であれば、プログレス図(進行図)を用いて興味のある年を調べることもできる。

という一文。

「二枚の出生図を正確に作成できる熟練占星術師であれば」。・・・ああ、そういう時代に書かれた本なんですよ、これ。分厚い天文暦と室項表の本を手に、計算して、何十分もかけてホロスコープを書いて、でも「本当にこれで合ってるんだろうか」って不安になって何度も見返して・・・って経験をしてきた占い師にしかわからない感慨。

たぶん室項表なんて「聞いたことがない」って人もいますよね。AIに調べてもらったら、90年代には消えてたみたいです。私に占星術関連の古書をたくさん譲ってくれたアメリカの占い師さんも、「占星術に関心があっても手計算が面倒で辞める人多かったんだよ」と言っていました。

今は占星術ソフトが瞬時にホロスコープを出してくれるし、下手したら1日がかりだったはずの3重円も何クリックかで手に入る。なんなら飛び込みの対面鑑定だってこなせちゃう。チャート作成のハードルは完全に撤去されています。それはやはり、コツコツと手書きでチャートを作り、解釈と実例を積み上げ、新しい発見を本にして、そしてソフトウェアを作って、後の世代に手渡してくれた先達たちのおかげなんだ、とちょっと胸が詰まってしまったわけです。

デイブ・ロエルさんのこと

ロデンの本を手に取って、もう一人、占星術の恩人のことを思い出しました。

じつはこの本はデイブ・ロエルさんという方が経営していた占星術専門のオンライン書店「アストロロジー・センター・オブ・アメリカ(astroamerica.com )」で購入したものなのです。彼のショップは様々な分野の占星術関連の書籍、それこそ古典占星術の教科書的なものからモダンテクニックや心理占星術、かと思うと自主製作のパンフレットのようなものまでが、彼自身のレビューと共に掲載されていて、当時の私のような初学者にとっては、日本では入手困難な膨大な出版物の中から自分の関心のある本を見つけることができる占星術のテーマパークのようなショップでした。

たぶん世界中のアストロロジャーの卵たちが彼の書評を読み、ショップにお世話になり、占い師としてデビューしていったことでしょう。私も年に1~2回のオーダーでしたが、有名占星術ショップのオーナー兼占星家(彼自身3冊の本を出版しています)が納品書に書いてくれる手書きの「Thanks!」に、単なる買い物を超えたうれしさを感じたものです。

思うに、書籍販売、書籍レビューというのも「価値ある情報を手渡す」「占星家の知識や思想を通して人と人をつなぐ」という点でとても水星金星的ですね。

ロエルさんは2014年に他界されショップは閉店しましたが、レビューは今も残っていて彼の書評を読むことができます。

北園イオ 11月の出演日は

11月6日(金)、11月20日(金)の12:00~20:00です。

あなたのホロスコープがいま宿している星のエネルギーを、どう方向づけ、今後の幸せに活かしていくか一緒に考えていきましょう。

ご予約はこちらで承っております。

執筆者:北園イオ(代々木店)

北園イオ:アイコン

「ホロスコープはあなたの人生という旅の海図です。あなたの長所や短所、考え方の癖、陥りがちなパターン、不調時のチェック事項や適切な扱い方が記されています。あなたが幸せや自分だけの物語をあきらめない限り、占星術にできることはきっとあります。星の光を頼りに道を探していきましょう。」

  • 所 属:代々木店  第1・3・5金曜
  • ツール:西洋占星術、ホラリー占星術、サビアン占星術、タロット

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