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2023/06/27

今の自分を生かす、より大きな物語を見つける占い

こんにちは。第三の眼代々木店、西洋占星術師・タロティストの藤井まほです。
今日は前回に続きセルフケアとしてのタロットについて、別の角度から考えてみたいと思います。

 

前回の「セルフケアとしてのタロット」では、カードの絵を見てどう感じるか、深めていくプロセスが自分を現状を知るきっかけになると書きました。
今回の記事は、カードのなかのキャラクターに自分を寄せることで、狭まった視野から抜け出せるかも?というお話です。

 

行き詰まったときに「救い」となる思考

 

悩みがあるときに「こんなことで悩んでいるのは、自分だけじゃないんだ」と知ると楽になりますよね。
ほかにも同じような境遇で苦しんでいる人がいるとわかると、悩みを少し相対化できるからです。何かでパツパツなときは、つい視野が狭まりがちですから。

 

占いやカウンセリングにも同じような作用があります。
特にタロットや西洋占星術では、カードに描かれた人物や小道具、天体や星座の名前の由来となった神話といった「象徴」を扱います。
そのため、占うプロセスにおいては今自分が直面している課題や対人関係のトラブルといった具体的な悩みを、より大きな物語の設定のなかで眺めることができるのです。

 

職場の人間関係で「愚者」のカードを引いたら?

 

たとえば、仕事上の悩み。勤めている職場の人間関係がギクシャクしているとき、タロットの愚者のカードを引いたとしましょう。

 

 

愚者は、二つの世界を行き来し、どちらの世界にも属さない自由人。
あなたにはそんな自由人の魂があるから、メンバーの固定した職場にいると息苦しく感じてしまうのかもしれません。
愚者が肩に担いだ棒には、いままでの経験で得たものを小さくまとめた荷物がくくりつけてあります。
愚者のカードは、過去をひとからげにして、自由で身軽な旅に出ようと言っているのでしょうか?
休暇を取って仕事のストレスと距離を置いてみるのもいいし、属している世界を出るべく転職を狙うのも一手です。

 

ところで今年初め、このブログで「2023年は「戦車」の年?」という記事を書きました。

 

2023年は「戦車の年?」

 

そこでも引用したのが、サリー・ニコルズによるタロットカードをC. G. ユングの思想体系に結びつけた著書。
タロットカードの大アルカナ22枚の絵柄を、ユングによる元型(アーキタイプ)論から読み解いた興味深い本です。

 

  ご参考までに>>Sally Nichols “Jung and Tarot” (邦訳はサリー・ニコルズ『ユングとタロット―元型の旅』)

 

「愚者」はただの「愚かな風来坊」の絵姿にとどまらず、万人が共通して(無意識のうちに)抱いているイメージ(ユングの言う「元型」)の一つとニコルズは読みます。
どこにも属さない自由人。愚かであるがゆえに危険を冒すが、そこでしか得られない新しい体験をしていく旅人ーーというイメージ。
ユングによれば、元型は、多様な文化の神話や伝説、物語の中に共通して描かれている存在です。

 

自由人、枠をはみ出た者としての自分に想いを馳せる

 

タロットの愚者が登場したならば。
仕事の人間関係で悩んでいる自分と、この「愚者」のイメージを対比させることでなんらかの解放感が得られるかもしれません。

 

ニコルズは著書の中で愚者をトランプのジョーカーの起源とする見方を紹介し、『夏の夜の夢』の妖精パック、『リア王』の道化などさまざまなキャラクターと照らし合わせます。役割や描かれた個性は違うのですが、予期せぬことを行うワイルドカード、二つの世界を行き来してつなぐ存在、既存の枠組みからはずれている側面などがありますね。

 

わたしがよく思い浮かべるのは、トーベ・ヤンソンによるムーミンシリーズのスナフキンです。
スナフキンはふいっと旅に出てはムーミン谷に帰ってくる存在。いろいろな経験をし、一人で思索を深めるせいか、深遠な名言で知られています。でも、どこか外の人(共同体の外の存在)の雰囲気も漂わせている。

 

あなたの知る「愚者」はどんなキャラクターでしょうか?

 

それらのどれであってもよいのです。
「今いるところの外側」にふらっと出たいな、という気持ちが自分にあることに気づけるなら。あるいは、今いるところに馴染めない自分も悪くないなと思えるなら。
そしてそれが単なる気まぐれや逃避願望ではなく、ある物語のキャラクターみたいなものなんだなと感じると、思い詰めていた気分がちょっと楽になってくるのではないでしょうか。
それは冒頭に書いた、自分だけが悩んでいるんじゃないんだなという気づきがもたらす、ほっとする気分と似ています。

 

何も、壮大な冒険に出かける必要はないのです。

 

今いるところだけでなくほかにも居場所があって、自分がそこに行けること。
今いるところを抜け出る方法があるのを思い出すこと。
自分のいる世界を少し外側から眺めてみること。
向き合っているパソコンやスマートフォンの画面とは違うところに目を転じるだけで、空気の流れが変わってくるのを感じられるでしょう。
予定していた作業をやめて、ベランダの植物の世話をすることにしたっていいのです。

 

タロットに描かれた「元型」に自分を発見する

 

今回は「愚者」の元型をとらわれた自分を解放するメッセージとして読みました。
セルフケアとして、自己に気づくセルフメンテナンスとして、こんな風にもタロットを使えるよという一例です。

 

占いというととかく「未来のことを教えてくれる」と考えがちですが、その手前に「今の自分を知る」があり、そのために占いというツールを使って「今の状況を外側から眺めてみる」ことが役立ちます。その過程で「過去」もわかってくるかもしれません。

 

「今を癒やす」ことが「未来を見通す」ことにつながる。それがケアやメンテナンスとしての占いではないかとわたしは考えています。

 

6, 7月の藤井まほの担当日(毎週水曜日):

6月 28日(水)

7月 5日(水)、12日(水)、19日(水)、26日(水)

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『「セルフケア」としての占い』~2023年6月のブログテーマ~

 

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