BLOG 占星家・タロティストのブログ BLOG 占星家・タロティストのブログ

2020/03/06

桜色~見えるものの背後にあるもの

こんにちは! 第三の眼 代々木店の森智子です。

目に見えないウイルス感染の恐怖や不安、社会の混乱による苛立ちなど、
それぞれに大変な状況にあるかと思いますが、
大きく変わるべき時だと心して対応していきたいですね。

どうか、心の免疫力まで落とさぬように、ご自分を労う静かな時間を持つことができますように。

そして、私たちは、たとえ困難な状況でも、
大きな団結力や知恵と思いやりの心を持ち、行動することができることにも、
忘れず目を向けていたいと思います。

 

そんな中、だんだんと外の空気は、穏やかで暖かい日の光が差し、
春の訪れをすぐそこまで感じる今日この頃です。

桜の開花・満開予報もひっそりと目にする機会が増えてきましたね。
占星術的にも大切な節目、春分が近づいてきて、
終わりと共に新たな始まりを意識することが多くなる、この時期に咲く桜。

こんな時だからこそ、今回は、春分の時期に咲く桜とその色について触れたいと思います。

桜の木と言葉の力

私は、桜の木を見ると、詩人の大岡信さんの「言葉の力」という文章のことを想いだします。

京都に住む人間国宝である染織作家の志村ふくみさんを
大岡さんが訪ねた時のことを想いだして書かれた文章です。

 

そこに書かれている内容とは、

●桜から桜色を取り出すには、花びらを煮詰めるのではなく、
桜の木の皮を煮詰めて取り出すということ。

●上気したようなきれいな桜色を取り出すには、寒い時期を乗り越え、
木全体に色が蓄えられた桜の花が咲く直前でなければならないこと。

●私たちが目にする花びらのピンクは、木全体が生命活動のリズムの中で、
最高のピンク色になろうとした色であり、その先端に姿を見せてくれたものに過ぎないということ。

●そして、言葉の世界でも同じことが言えるだろう。

●言葉の一語一語は、花びらの一枚一枚であり、その背後にあるものを考える必要があり、
発するささやかな言葉の一つ一つがその人間全体を反映する。

●言葉というものに向き合う姿勢が、美しい言葉、正しい言葉というものを身近なものにするだろう

ということが、情景を感じるとても美しい言葉で書かれています。

私は、趣味で草木染をやっていた頃に出会ったのですが、
中学の国語の教科書にも載っている文章のようです。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
ご興味のある方は、ぜひネットで検索して原文をお読みになってください。

このことは、心理占星術のコンサルテーションで、
ホロスコープに向き合う時に感じることと同じだなと思うのです。

ノエル・ティル式心理占星術では、ホロスコープに映される緊張を示唆する表示を、
成長のための必要な困難や努力、成長や成功のために必要な学びと捉えています。

現実世界で実際に、自分がそのような困難で苦しんでいる最中は、
頭でわかっていても、心がなかなかついていかないこともあります。

けれども、ホロスコープを通して、自己や人生、その出来事を客観的に俯瞰してみることで、
それはまさに、さきの文章に書かれているような、大きなエネルギーを蓄えている最中であり、
桜の木が、極上の桜色の花を咲かせるために、木全体で寒い冬を超えている姿に重なる時があります。

 

コンサルテーションでは、ホロスコープが私たち占星家に見せてくれる天体の配置やアスペクト、
象徴のひとつひとつにもそのホロスコープの持ち主の生きている人生が織り込まれていて、
それをどこまで目の前の方との対話の中から感じとり、共に理解を深めることができるのか。

それによって、心理占星術がもっと身近なものに感じるような気がしています。

 

そして、そこには表現されることを待っている、
その方だけの大切な色(魅力や可能性)があることがあって、
そういう色をベストなタイミングで映し出せる占星家であるために、
私は学び続けたいと願っています。

見えるものの背後にあるもの

染織作家の志村ふくみさんご本人の著書 『一色一生』の中でも、
自然界の色-植物の緑、花の色、海の青さ-の背後にあるものについて語られています。
その際に紹介されていたドイツ人の詩人、ノヴァーリスの詩を載せておきたいと思います。

すべてのみえるものは、みえないものにさわっている。
きこえるものは、きこえないものにさわっている。
感じられるものは、感じられないものにさわっている。
おそらく、考えられるものは、考えられないものにさわっているだろう。

春分の日、きれいな桜色が見えるころ、
まだ見えないあなただけの大切な色を探し始めてはいかがでしょうか。

折よく、春分の日の二日後、土星が水瓶座に入ります。
社会変動と共に、あなただけの輝きを掘り起こしてみるのも良いかもしれませんね。

 

『春分』~2020年3月のブログテーマ~
『桜・旅立ちのとき』~2019年3月のブログテーマ~
『三眼のビブリオ月間 ーおすすめの本ー』 ~2018年10月のブログテーマ~

カテゴリ一覧

アーカイブ