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2022/11/28
ひとが旅をする理由【転機と西洋占星術のリロケーション】
こんにちは、心理占星家、タロットリーダーの 今田ちえ です。
オンライン、宮崎支部での対面セッションを担当しています。
先日、新海誠監督の映画「すずめの戸締り」を観ました。
どんな話かを簡単に、公式サイトのあらすじから抜粋しますね。
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
ある日、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、
ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、
草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、
日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
こちらに書かれている、主人公が住む「九州の静かな町」
いま私が住んでいる宮崎県の南の方ですね。
映画に出てくる地図をみてわかりました。
登場人物の話す言葉も耳慣れたもの。
なんだかわくわくしてうれしかったですね。
映画中で、すずめと草太は不思議な扉に導かれるように旅をします。
土地が宿す想いとひとが宿す想い。
そういった目には見えないつながりについて、
この激動の時代をどう生き抜くかについて、深く想いをはせる時間でした。
その後も余韻はつづいています。
観おわってから、「主人公が南の静かな町で育ったことの意味があるとしたら」
となんとなく考えていました。
宮崎はあたたかな陽射しが燦燦とふりそそぐ土地。
夏ともなればギラギラとかなり熱く強いパワーがふりそそぎます。
あるとき、東京からやってきて宮崎の地に降り立った友人が、
プリミティブなパワーを感じる、と言っていました。
灼熱の太陽の光に育まれた、根源的な大地の力が、
まっすぐに感じられるんだろう、と受けとっています。
ずっと住んでいるとわからなくなりますが、
久しぶりに帰ってきたときには感じますね。
そんな土地で育った少女にも、根源的な生命力が力強く育まれているでしょう。
この映画の展開にふさわしい気がします。個人的な解釈ですが。
ひとが旅や移動をする理由
南の土地の豊かな陽射しの元で、生きる力を蘇らせる。
思い出したのは、作曲家のリヒャルト・シュトラウスと作家のカミュと。
それぞれの伝記を星まわりとつきあわせて読み解いたエピソードです。
(青文字は占星術用語です。必要のない方はとばしてお読みください。)
地中海地方への旅行で復活し生まれかわったリヒャルト・シュトラウス
リヒャルト・シュトラウスは、ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家。
交響曲とオペラの作曲で知られます。
スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』のオープニングに使用された交響詩
「ツァラトゥストラはかく語りき」で最もよく知られているのではないでしょうか。
ドイツのミュンヘンに生まれたリヒャルト・シュトラウスは、
優秀なホルン奏者の父のもと、音楽の厳しい徒弟教育を受けました。
非常にはやい時期から作曲をはじめ、音楽家として着実に成功していきます。
ワイマール宮廷劇場の楽長をつとめている28歳のときに、
激務がかさなり体調をひどく崩した彼は、
ギリシア、シチリア、エジプトなど地中海地方へ保養の旅へ。
燦燦とふりそそぐ太陽のもと、生きる力をとりもどして復活し、
さらにここから作風も大きくかわります。
それまでは、受難的な苦しさを表現していましたが、その後は笑いと力が特徴となったのです。
このとき星の時期表示は、彼の自己像が生まれ変わるタイミングだったとしめしています。
(ソーラーアークのアセンダントが出生図の冥王星にふれる)
リヒャルト・シュトラウスはエジプトのカイロでは運勢がかわると読める
移動した先では運勢がかわることがあります。
リロケーションという技法を使うんです。
リヒャルト・シュトラウスの旅行先のひとつエジプト。
首都のカイロでリロケーションをしてみましょう。
この土地では、彼にとって、
「抑圧されていた喜びの解放と、自分をアピールする情熱の強化」
がおこり得ると読みとれます。
(出生図→リロケーション図の主な変化。
10ハウス後半にあった火星・海王星→MC軸と合、
4ハウス後半にあった土星→ICと合、
金星が12ハウス→11ハウス)
伝記から考えると、父親から引きついだ保守的なスタイルに留まることなく、
彼自身の、本来の情熱と感性がぞんぶんに発揮されるようになった、といっていいのかもしれません。
カイロのリロケーション図では、金星と火星が強調されています。
金星は笑いや楽しさ、火星は力を象徴します。
「その後は笑いと力が特徴となった」とは、ぴったりですね。
地中海の陽光が育んだ生命力、貧困体験と病、のはざまで不条理を見つめた作家アルベール・カミュの転機
カミュは、当時フランス領だったアルジェリアに生まれました。
この不条理な世界に対して人間はどう向き合うべきかを、生涯模索し続けた作家です
デビュー作、『異邦人』によって一躍有名になりました。
カミュが育ったアルジェリアの首都アルジェは、地中海に面した都市。
燦燦と降り注ぐ太陽と地中海の恵みをぞんぶんに味わい育ったカミュは
「貧困は僕にとって必ずしも憎むべきものではなかった。
なぜなら、太陽と海は決して金では買えなかったから。」と『裏と表』の序文の中で書いています。
カミュが生まれてすぐに父は戦死。非常に貧しい家庭で育ちました。
その当時に味わった疎外感が『異邦人』につながったといいます。
また、彼は学生時代に結核を患い、生涯にわたり苦しみました。
光と影、生と死、を体現し、そのはざまで生まれる不条理を見つめつづけた人でした。
カミュが本国フランスへ向かったのは26歳。
第二次世界大戦下、フランスの敗戦とともに各地を転々とし、
一時期はアルジェリアにもどったりもしながら、
『異邦人』が認められたのち、本格的にパリに居をかまえたのは30歳。
星の配置から読む26歳から27歳までの時期表示にしめされているのは
- 社会的責任をともなう成長の要素
(トランジット土星が出生図の太陽とオポジション) - 社会的立場と自己像の変容
(トランジット海王星がアセンダントと合、MCとスクエア)
変容の時期には、いったんこれまで築き上げたものが崩壊するような体験もしやすいんです。
カミュも、いったんフランスで職をみつけたものの、敗戦の混乱にともない解雇、
漂流するかのように各地を転々とする体験をしていますね。
パリに居をかまえた30歳では
- 社会的ステップアップと自己像の確立の時期表示です。
(トランジット土星がネイタルのアセンダントにスクエア、
トランジット土星がMCに合)
その後のレジスタンスにおける活動、言論活動、『ペスト』の刊行により、
カミュは作家としての地位をかため、戦後フランスの知的社会に大きな影響を与える存在となります。
パリに移動することで変わった運勢
カミュの出生図をリロケーションすると。
アルジェにいるよりも、パリに住むことで、社会的影響力や野心が強くなり、
作家としての活動が活発になる、と読めます。
(出生図→リロケーション図の主な変化。
9ハウス内にあった土星→MCとかさなる。
2ハウスにあった太陽→3ハウス。)
その後
パリに住みながらも、療養のためにときおり南仏やアルジェで過ごします。
アルジェがインスピ―ションの源でもあったようです。
1954年11月、41歳の年にアルジェリア全土で民族解放戦線が一斉に蜂起。
一般にはアルジェリア戦争と呼ばれるこの抗争との関わりなど、
不条理のさなかにいつづける人生だったように思います。
1960年1月、自動車事故により46歳の若さで亡くなりました。
人が旅や移動をする理由
ひとはなぜ、旅や移動をするのか。
もちろん、ひと言ではいえません。
ご紹介したふたりのエピソード、そしてわたし自身の体験をふまえて、理由のひとつをいうなら、
変化の時期をむかえ入れ、あたらしい自分に出会いたくなったとき。
もって生まれた可能性を花ひらかせるために
必要なエネルギーを与えてくれる場所にいくのかもしれませんね。
わたしの転機体験
わたしは30代半ばで宮崎から東京方面へ移動しました。
何かを大きく変えたい気持ちがまずあり、
そのころ没頭していた占星術やタロットを仕事にするきっかけも求めていました。
はじめはなかなかうまくいかない失意の連続。重たい気持ちを抱えながら過ごしていましたが、
1年ほどたった頃から、今にもつながる重要な出会いにめぐまれ、
占星術やタロットを仕事として確立していきました。
星の配置ではどんな時期表示だったか
- 仕事や社会的な在り方をいったんリセットして、再構築する。
(ソーラーアークMCがネイタルの冥王星にふれる) - 自分らしい仕事にかえる。引っ越しなど住環境の変化を求める。
(ソーラーアーク天王星がネイタルのMCにふれる)
東京に移動することでかわった運勢
わたしの運勢を星の配置図で読むと、宮崎では地道に自分の世界を築きあげる傾向がつよいです。
東京でリロケーションすると、自分から積極的に動き働きかける力が強まります。
また精神世界に関する仕事(もともと持っている要素ですが)をするチャンスも得やすいですね。
(出生図→リロケーション図の主な変化。
アセンダントが獅子座から乙女座にかわり、太陽と月のミッドポイントにふれるようになる。
4ハウス内にあった海王星→MCとオポジション
2ハウスにあった太陽・水星・火星→1ハウス、)
とくに運勢がかわる表示がなかったとしても、
東京という都市は積極的に動き仕事や出会いを手にする場所ですから、
そういう刺激はもらえますよね。
縁のある土地を占星術をつかって探すには
わたしは、リロケーション図をみて移動を決めたわけではなく、
サポートしてくださる方の縁があり、そのとき行きたいと強く望む場所だったから。
まずは、自分の感覚や状況からそういう場所を見つけるといいんじゃないかな、と
わたしは考えています。
その時の必要におうじて、気になったり、出会ったりする土地があるはずです。
土地との縁やご自身の直観や体験をじっくりと探求したいとき、
占星術をつかって縁のある土地について考察するのはおすすめです。
興味深いですし、迷っているならば、どう選択するかの背中を押してくれるでしょう。
大きな気づきがあれば、その後の人生をさらに豊かにしてくれるのでは。
旅をしなくても土地のエネルギーと出会うことはできる
ちなみに、実際にその土地に行かなくても、
その土地のエネルギーを受けとることができるといわれています。
どの地域とどんな縁があるのかを探すには、アストロマップという技法を使います。
その土地の産物をおとりよせする、その土地が舞台の小説を読むなど、
この地域に関連するものに触れるんです。
わたしの場合、子どもの頃から好きだったお話や、いま惹かれる国などで調べると、
なるほどなぁと納得があります。
その地域出身の方との出会いもおなじくです。
わたしは、学ぶことで仕事に直結した占星術のコースがあるのですが、
こちらの恩師が現在住まわれている場所で、わたしの出生図をリロケーションすると、
「学びと仕事」が過剰なほどに強調されています。
星の表示は、実体験とかさねあわせると、いっそう興味深く、
自分がどんな物語を生きているのか、がよくみえてきますね。
心理占星術セッションで移動先についてのリーディングも希望される場合は
ホームページのわたしのセッション予約のフォームにて、
ご相談内容の欄に、「旅や移動」とお書き添えください。
「通常のご本人様のリーディング+旅や移動」についてであれば、
90分コース(オンライン)、または、80分コース(対面)がおすすめです。
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