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2022/09/22

【海王星】魚座24度のサビアンシンボルから時代のテーマを読む

第三の眼・代々木&オンラインのサビアン占星術研究家 すずきふみよし です。

海王星が位置するサビアンシンボルが示唆する時代のテーマ

2022年9月22日現在から10月28日までの期間は海王星が魚座24度にあります

冥王星が天文学的に準惑星の扱いとなったため,海王星は現在太陽系の惑星で最も外側を公転している惑星です。その公転周期は約164.8年と長く(冥王星は約247.8年)ゾディアックにおいては約14年で1つのサイン(星座)を通過します。冥王星は公転周期が長いうえに逆行も多いため約14~26年という幅のあるスパンで1つのサインを通過しますが,いずれにせよ占星術においては時代の根底的なテーマを表す天体の1つとされています。

同じ度数に長く滞在し,その度数のテーマを深く私たちに提示しているがゆえ,海王星が位置するサビアンシンボルを知ることは時代のテーマを深く理解することにつながります。海王星の位置するサビアンシンボルの象意を理解することにより,この混迷の時代を読み解き,よりよく生きるヒントにしていただければ幸いです。

なお,サビアンシンボルはルディアにならい,以下の2つの側面から解釈しています。
実存的:サビアンシンボルの詩文を字面どおりに読んで解釈してよい部分
元型的:360度の全体構造から
字面以外の意味を抽出しないといけない部分

魚座24度のサビアンシンボル解説

ルディアおよびジョーンズのテキストから読む

占星術家マーク・エドモンド・ジョーンズは透視能力者エルシー・ウィーラーとのコラボレーションによりサビアンシンボルの体系をつくり上げたオリジネーターです。ジョーンズの勉強会に参加していたデイン・ルディアは独自解釈を加え,サビアンシンボルをさらに進化させた中興の祖と言えます。すずきふみよしは両者のテキストを併せ読むことでサビアンシンボルのコアに迫ろうとしています。

魚座24度のサビアンシンボル(ルディア版,以下同)
広大な海に囲まれた小さな島で,人々が密接な交流のもと生活しているのが見られる
On a small island surrounded by the vast expanse of the sea, people are seen living in close interaction.
キーノート:自身の力を集中し安定して充実した生を生きるために個人の限界を自覚的に受容する必要

魚座24度の実存的な意味

このサビアンシンボルの詩文からは離島内という密な環境における人間関係が読みとれますが,まったく外界との接触がないわけではないのでしょう。また,いち個人の人間も同様に,他者との交流のなかで生きています。ルディアは「すべての個人化された人物は,人類という広大な海洋のなかの1つの小さな島である」と述べています。詩文に描かれている小さな島とは1人の人物の比喩であり,そしてまたその内部で何人もの人々が交流のもと生活しているという入れ子のような構図になっています。

魚座の特質としてはしばしば,自他の境界が曖昧になるほどの強く高い感受性や共感能力が挙げられます。しかしそうは言えどまずは自他の峻別があってこその共感や同調です。魚座というサインの終盤では自他の線引きと溶融がないまぜに繰り返されていく傾向がありますが,この24度では比較的線引きのほうにフォーカスが置かれています。キーノートに示されているように,個人の限界を自覚的に受容することが安定して充実した生を生きるために必要だからです。自我の境界線を引いて自身の意識に明確なキャラクターを与え,そのうえで個々人が相互にリンクして統合されていく——これがこのサビアンシンボルの実存的な意味です。

ただしルディアはこの自我の境界について「拡張し得るのみならず,内面と外面との,個人と共同体との,人間と宇宙との,激しい交流のゾーンにもなり得る」とも述べています。自我の境界はあらゆるボーダーラインの比喩であると言え,そこでは大きなせめぎあいが生じる可能性が暗示されています。しかしそれもマイナスの面ばかりを意味するわけではありません。ジョーンズは「異世界でのあるいは非友好的でよそよそしい完全な独立性のなかでつねに機能することができ,最も不毛な状況であるかのように見えるであろうものごとのはじまりにあって必要とされる適切なリソースを開発することができる」と,ボーダーラインにいる立場だからこそ,せめぎあいのなかでなし得ることを積極的に描いています。

魚座24度の元型的な意味

ゾディアック360度を5度ずつのまとまり(シーケンス)に区切っていくと,この魚座24度は71番目のシーケンスの第4ステージとなります。第4ステージは通常,なんらかのテクニックを示す度数です。第1ステージおよび第2ステージが第3ステージにおいて統合され(ヘーゲルやマルクスに連なる伝統的な意味合いでの弁証法的プロセス),そして第4ステージでは個人化された意識の発達にとって必要とされる新たなテクニックが提示されます。第5ステージでは意識の新次元が発見され,体験および精神の発達のより高次の可能性が示されることになります。ルディアはこれを「5拍子の弁証法的シーケンス」と呼んでいます。

先行の3度分のプロセスを経てこの第4ステージ魚座24度で示されるテクニックとは“CENTRALIZATION(集約,集中化)”です。上述したようにこの小さな島は孤立した離島ではありません。島の住民たちは自給自足で生活している一方で,海を渡って他の島の住民たちと交流するに至っています。そして最終的にはみなが,あらゆるものを含む地球全体のなかで自分たちの一体性を理解するようになっていきます。そうしたいわゆるワンネスへの集中化というのがこのサビアンシンボルの元型的な意味です。

「どんな男性あるいは女性にとってもの最初の義務は,本当に彼または彼女が個人としてなんであるかということを伝えている。しかしこの個人は特定のダーマ,すなわちより広大な全体のなかでの場所と機能をもっている」とルディアは述べています。自我の境界線を引いたりその境界が溶融したりを繰り返すなかで,人間は性別を超えて自分が個人としてなんであるかを理解することになります。そして大きなワンネス,宇宙の法のなかでの位置づけを把握するに至ります。354/360とゾディアックもいよいよ終わり=次の始まりに近づき,全体性への回帰に向かいつつあることが感じられます。

魚座24度のキーワードと現れ方

キーワードとして“CULTIVATION(耕作,栽培,養殖,育成,修養,教養)”が与えられています。島の生活は自然を相手にした農漁業が中心でしょうが,同時に島民や他の島の住民たちとの交流があり,まさに人間関係を耕しています。そして自分がなんであるか,どこが居場所かを理解するというプロセスは,まぎれもなく人間の魂の育成,修養,まさしく教養と言えるでしょう。ジョーンズは「自分の特別な関心のいかなる分野においても自分自身の私的な世界を組織する人間の天賦の才のシンボル」と述べています。

ポジティブな発現は「創造的な便宜主義もしくは発明性による例外的な指示を通じての達成」です。ワンネスのなかでの自分の位置づけを見出したとき,あらゆるものはそれがそこにそうあることが必然であるという状態になります。一見ご都合主義のようであってもそれが当たり前であると感じられ,それをクリエイティブに利活用できるというわけです。その創意工夫は天才的なひらめきとして周囲にイノベーションを感じさせるものとなるでしょう。

ネガティブな発現は「俗物根性の自己満足および自己耽溺」です。自分にとっては必然だとおもわれても他人から見れば陳腐でありきたりで自己満足にすぎないように映ってしまうおそれがあります。ヒロイックなナルシシズム傾向にも注意したいところです。

魚座24度に太陽をもつ有名人

アルベルト・アインシュタイン Albert Einstein

出生図の太陽のサビアンシンボルがこれである有名人としてとりあげたいのはアルベルト・アインシュタインです。出生図を出して見てみましょう。1879年3月14日ドイツ(バーデン=ヴュルテンベルク州)生まれ。出生時刻はAstro Databankによれば午前11時半で,これは出生証明書や出生記録あり(Rodden Rating AA)という非常に信憑性の高いものです。

アルベルト・アインシュタインの出生図ホロスコープ Albert Einstein, natal chart

言わずもがな,特殊相対性理論および一般相対性理論の提唱などにより従来の物理学の認識を根底から変えた20世紀最高の物理学者です。特殊相対性理論における「質量,長さ,同時性といった概念は観測者のいる慣性系によって異なる相対的なもの」「唯一不変なものは光速度 c のみである」という主題は,宇宙のなかでの個人(ここでは観測者)の位置づけを相対的に捉えワンネスへの回帰へと向かう,まさにこのサビアンシンボルの扱うテーマそのものを体現しているかのようにおもえます。「宇宙は膨張または収縮をしている」とはまるで小さな島が他の島々と交流している様子を宇宙へと敷衍して見つめて生まれたかのようです。

その業績(直接的には,光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明)によって1921年にノーベル物理学賞を受賞しましたが,どの仕事もポジティブな発現を遺憾なく発揮しているでしょう。まさに天才的な発明です。5歳ごろまではあまり言葉を発して他人と会話することがなかったようであり,大学時代には講義にもあまり出席せずに自分の興味のある分野に集中していたために物理の実験の成績は最低の「1」だったとのことです。このあたりはネガティブな発現(自己耽溺)の一例と見ることもできるかも知れません。とは言えこのくらい桁外れですとネガティブな要素さえポジティブに変えてしまうようです。

すでに故人ですので,現在のトランジットの海王星が彼に直接の影響を与えるということは,一応はないと言うことができます。しかしながら海王星は無意識や直感,霊性などを扱う天体ですので,彼の残した仕事が現在の時代のムードに合致し,再評価やブレイクで脚光を浴びるという可能性はあるでしょう。現在,海王星のみならずトランジット木星が彼のネイタル水星・土星の合に載り,同じくトランジット冥王星もネイタル火星の上に載っています。トランジット天王星もネイタル冥王星に近いです。業績が見直されるなどの動きがあるかも知れませんし,なにより現在筆者がブログにて言及していること自体がその現れの一端と見ることもできるでしょう。

魚座24度にある海王星が示唆する時代のテーマ

海王星が扱うものは上述のとおり無意識や直感,霊性,そして神秘,理想,利他などです。アルコールその他のドラッグ,なんらかへの依存や中毒,嘘や欺瞞といったネガティブな要因をも含んでいます。したがって海王星がこの度数に来ているということから導かれるのは,ワンネスへの集中化と回帰に向かうために,また安定して充実した生を生きるために,個人の限界を自覚的に受容すること,そしてそういう時代のテーマが社会的なムードとして醸成されている,より言えば人類全体の集合的無意識にテーマとして設定されている現在があるということです。

世界はあらゆる相において分断されています。コロナ禍は新しい生活様式を振りかざし人と人との間にディスタンスを求めました。ロシアによるウクライナ侵攻は,ロシアとしては自国と同じルーツをもつと見なしていた国がNATO/米国寄りに傾いたと捉えたことが発端であるという見方があります。覇権主義を進める中国も含めて国際秩序の枠組みが再編成されようとしているなかで,どの側につくのかの立場表明が求められるという分断化が,国家単位はもちろん個人単位でも進んでいます。

このような状況下にあって,いきなりのワンネス志向はあまりにも性急です。まずはいったん自他の線引きをすることが必要です。社会情勢や周囲のムードになし崩し的に同調してしまったり,ものごとの扱いををうやむやにするのは避けたいところです。「まあこれでいっか」ではなく「こうする必要がある」「だからこれをやるんだ」と理性的にかんがえるようにしてみてください。これが「個人の限界を自覚的に受容すること」です。そこにきっと大きなひらめきがやってくることでしょう。

そして,そのうえでのワンネスへの集中化です。現在トランジットの冥王星が伝えてくれているのは人と連携して自分を鍛え高めていくことですが,テーマはとても似通っています。自分の居場所を見出だせれば他者の居場所もおのずと尊重できることでしょう。それを踏まえて,自分が大きなものの一部であることの認識が生まれてきます。逆行ゆえにぼんやりしていますが(海王星は12月3日まで逆行で途中10月29日には魚座23度になります)この時期にこの無意識的なテーマ,いち個人の無意識レベルにとどまらず集合的無意識のレベルに設定されているテーマにいかに自覚的になれるかが一人ひとりのQoLを左右するでしょう。

魚座のこのあたりの度数(前後2度ほど)に天体が,とくに太陽や月がある人にとっては,かえって自分の本来的な姿がぼやけてしまう状態になるおそれがあります。精神的な不調となって現れる可能性も否定できません。同時に,双子座・乙女座・射手座の同じあたりの度数に天体(太陽・月)がある人にも影響があるでしょう。

  • 双子座:発達や成長が促される機会がやってきているのにそれがまるで切迫して感じられません。つかの間の興奮に享楽的になる傾向も見られます。立ち止まらず突っ走ることからはなんらかのブレイクスルーが生まれるかも。
  • 乙女座:小難しいことをかんがえたり上っ面の小賢しい策を弄したりはしたくないのに,かえってそうしてしまうかも知れません。自分の内面のピュアネスを大切にして。
  • 射手座:探し続けていたものは実は本当にすぐそばにあるのに気づかないおそれがあります。得られるはずの報酬を逃してしまう場合も。道に迷わないように正当な権利を訴えて。

混迷の時代をどう読み,つくっていくか

現在,木星以遠の天体がすべて逆行中です。木星以遠の天体は時代の変化をつくるとされていますが,それらがすべて逆行とはまさにこの混迷する時代の停滞状態をくっきりと表していると解釈することが可能でしょう。

個人の出生図における逆行は,その天体のもつ象意の発現がいくらか控えめに,よく言えば慎重な現れ方をすると解釈されます。また見方を変えると,順行―逆行―順行の流れは前進後退しながら同じ度数を2~3回通過することになり,すでに経験したテーマをもう一度見直し掘り下げていくプロセスであると捉えることができます。私の本業である出版の仕事にたとえれば“校正”のようなものです。

混迷の時代にあって逆行する木星以遠の天体——これらのサビアンシンボルを読み解くことによって,時代はどう変化していくのか,そこに私たちはどう対応していけばよいのかのヒントが得られることでしょう。じっくりと時間をかけて校正・推敲することで人生は美しく仕上がります。そして変化は,控えめながらも着実に,行きつ戻りつしながらも間違いなく先へと進行しています。

こうしたコンセプトのもと,木星以遠(とりわけトランスサタニアン)の天体が現在位置しているゾディアックの度数について,サビアンシンボルの解説の集中連載を行っています。時代を読み,そしてつくっていく手がかりとしていただければ幸いです。

★参考:しばらくの海王星の運行

  • 2022年9月18日~10月28日 魚座24度(逆行)
  • 10月29日~12月3日 魚座23度(逆行)
  • 12月4日~2023年1月8日 魚座23度(留~順行)
  • 1月9日~2月13日 魚座24度(順行)
  • 2月14日~3月12日 魚座25度(順行)

◉参考文献

Dane Rudhyar, “An Astrological Mandala — The Cycle of Transformations and Its 360 Symbolic Phases,” Random House, Inc., 1973.(デイン・ルディア『アストロロジカル・マンダラ——変化のサイクルとその360のシンボルのフェイズ』ランダムハウス,1973年)

Marc Edmund Jones, “The Sabian Symbols in Astrology — A Symbol Explained for Each Degree of the Zodiac,” Aurora Press, 1953.(マーク・エドモンド・ジョーンズ『占星術におけるサビアンシンボル——黄道十二宮における各度数のサビアンシンボル解説』オーロラ・プレス,1953年)

Dane Rudhyar, “The Astrology of Personality — A Reformulation of Astrological Concepts and Ideals, in Terms of Contemporary Psychology and Philosophy,” Lucis Publishing, 1936.(デイン・ルディア『パーソナリティの占星術——占星術の概念および理想を現代の心理学と哲学の観点から再定義する』ルーシス・パブリッシング,1936年)

※邦題は理解を容易にするため便宜上筆者がつけたものであり,いずれも日本語の翻訳は出版されていません。

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